乱用される薬物の種類/有機溶剤

有機溶剤について

有機溶剤とは、揮発性で非水溶性の物質をよく溶かす化合物の総称で、塗料を薄めるために使用されるます。有機溶剤の身近なものとして、シンナー、トルエン、接着剤、充てん料などが乱用されます。

有機溶剤

シーッポック

有機溶剤は手に入りやすいことから、若い人たちに乱用されることが多いんだ。

有機溶剤の影響

シンナー等の有機溶剤を乱用すると、神経が抑制され、ぼんやりとし、酒によったような感じになります。また、乱用を続けると、集中力、判断力が低下し、何事にも無気力になる他、幻覚・妄想などの精神障害が現れます。身体に与える影響も大きく、体の各器官に障害が起こります。特に恐ろしいのは、乱用によって大脳が萎縮し、一度破壊された脳の働きは、たとえ乱用を辞めても決して元には戻らないことです。

さらに、大量に吸入した場合には、呼吸中枢が麻痺すること等により、死に至ることもあります。

急性効果(吸ってすぐ現れる影響)

  • 酩酊作用、麻痺作用……………脱水、酸素欠乏、呼吸麻痺
  • 知覚異常及び幻覚の発作作用…身体移動感、夢想症

急性効果としては、有機溶剤の中枢神経に対する抑制作用によって、酩酊から麻酔に至るまでの各段階による意識レベルの低下が起こります。いわゆる「ラリった」状態となって、「幸せな気分になる」「調子がよく、怖いものがない」など、気分が高揚し、多幸的または刺激的な酔いをもたらします。

有機溶剤を脅迫的に吸引する乱用者は、喉の渇きや空腹の感覚さえも麻痺し、急激に脱水症状や栄養失調を起こし、緊急入院をすることもあります。また、自動車の中など狭くて換気の悪い場所で吸っていて、呼吸麻痺を起こして死亡することもあります。

さらに有機溶剤には、知覚異常や幻覚の発作作用もあるので、ラリっている最中に、周囲の物体が実際より大きく見えたり、小さく見えたり、あるいは変形して見える、移動する、また、ジェットコースターに乗ったように自分の身体が移動するように感じるなどの知覚異常が経験されます。

また、色のついた曲線模様の変化や自分の空想する情景が夢のように目の前に展開する幻覚(夢想症)などが経験されることもあります。

慢性効果(長期に吸っていると現れる影響)

身体的障害
  • 慢性気管支炎…咳、痰
  • 末梢神経炎……手足のしびれ、歩行困難、筋肉萎縮
  • 視神経萎縮……複視、視力低下
  • 再生不良貧血…めまい、息切れ
  • 肝障害…………肝機能障害
  • 脳の萎縮………脳波異常、痴呆
精神的障害
  • 性格の変化1………いらいらして落ち着きがない(抑制欠如型)
  • 性格の変化2………無気力でだらしがない(無気力弛緩型)
  • 有機溶剤精神病…幻視・幻聴、妄想、それらに基づく異常行動

有機溶剤の長期乱用は多くの身体障害を起こします。吸引される有機溶剤の種類によってその症状は若干異なりますが、有機溶剤が粘膜を刺激するため慢性気管支炎を起こしたり、メチルアルコールによる視神経障害、ベンゼンによる骨髄造血機能の低下が再生不良性貧血を起こし、トルエンでは肝機能障害の他、手足のしびれ、脱力歩行困難、手足の筋肉の萎縮となる多発神経炎、小脳失調と視力・視野障害を引き起こします。

有機溶剤の精神障害については、性格の変化はどの乱用者にも認められますが、その中でも、いらいらして落ち着きがない抑制欠如型、無気力でだらしがない無気力弛緩型という2つの特徴に分けられます。一人の有機溶剤の乱用者において、これら2つの特徴がその時々において混在して現れます。こうなると、社会での適応能力が鍛えられず、ますます、薬物を摂取することにのめりこんでいってしまいます。

また、幻視・幻覚等を有する精神病状態を発現するようななりますが、乱用期間が長くなればなるほどその発現の確率は高くなります。

有機溶剤の身体的影響

脳には
大脳の神経細胞の死滅により、脳が萎縮し、意識障害、記憶力低下、幻覚・妄想などを引き起こします。また、小脳失調や脳波異常が生じ、痴呆になります。
気管支・肺には
粘膜が侵されるため、慢性気管支炎を生じ、咳や痰が出ます。
胃・肝臓には
細胞の一部が死ぬため、食欲不振、腹水、黄疸、肝機能障害を生じます。また、胃粘膜が侵されるため、出血し、胃痛、吐き気、嘔吐が起こります。
腎臓には
腎障害として、尿蛋白や浮腫が起こります。
目には
視神経が侵され、眼底出血が起こり、視力低下や失明の危険があります。
心臓には
心不全、不整脈、胸痛などが起こります。
末梢神経には
手足のふるえ、しびれ、麻痺が起こります。
骨髄には
赤血球がつくられなくなるため、再生不良性の貧血が起こります。
生殖器官には
生理不順、生殖能力の低下、先天異常などが起こります。妊婦、出産にも影響があります。
その他に
有機溶剤を脅迫的に使用する乱用者では、喉の渇きや空腹の感覚さえも麻痺されて、急激に脱水症状や栄養失調を起こして緊急入院を要することもあります。また、狭くて換気の悪い場所で吸っていて、呼吸麻痺を起こして死亡することもあります。

有機溶剤の精神的影響

シンナーなどの有機溶剤を摂取すると、時間の感覚にゆがみを感じる、物が大きく見えたり極端に小さく見えたりなどの感覚が現れます。また、自分が偉大な人間になったような自信にあふれた気持ちにもさせます。しかし、薬の効果が失われるとともに、極度の疲労や情緒不安、孤独感、いらいらなどに見まわれるようになり、シンナーなどの摂取を繰り返すようになっていきます。

慢性的な摂取は、幻覚や幻視(物が変形して見える、実物より大きく見える、実物より小さく見える)を常にもたらすようになり、被害妄想へと発展していきます。これらの妄想と現実の区別がつかなくなって、突然周囲の人に乱暴をはたらくこともあります。また、抑制心が失われて、生活は自堕落になり、自分勝手な考え方しかできなくなります。より、状況が進行すると、脳神経に炎症が起こり、精神錯乱ののちに昏睡に至ることもあります。

こうした神経へのダメージは、ほとんどもとに戻ることのない致命的な障害になります。

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