少年を暴力団から守る活動について

 ここでは、少年や少年と深く接するご家族などの大人に本当の暴力団の実態を紹介して、暴力団と安易に関係したり、犯罪に巻き込まれないようにするために知っておいてもらいたいことをお伝えします。
 社会全体での「暴力団排除」を目指して、暴力団から少年たちを守るために、ご協力をお願いします。

Ⅰ 暴力団を知ろう

1 暴力団という組織
 暴力団は、ピラミッドのような組織体系をしています。組員が犯罪などで稼いだお金を自分より立場が上の者に納め、最後は組長などのトップに集まるようになっています。
 組長などの幹部だけがぜいたくな生活を送っていますが、このような幹部になるのは暴力団でも一握りの人間だけで、その他の暴力団員は苦しい生活を送っています。
 また、暴力団に入ると組長との関係は、実の親子の結びつきよりも強く絶対的なものになります。ピラミッド型ですので、組長などのトップに権力も集中しており、犯罪はしたくないと思っていても、組長や幹部からの命令は絶対で断ることはできません。
 ほとんどの暴力団員は「こんなはずじゃなかった。」と後悔しています。

 

2 暴力団員の生活実態
 暴力団員は、組長や組織のために働いているものの、組織からの給料はありません。
 そればかりか、自分の生活だけではなく、組織の名前を使って活動するには組長などの幹部にお金を払わなければなりません。
 また、暴力団事務所で電話番や掃除や炊事などの当番をしたり、昼夜をとわず親分や兄貴分から呼び出され、組長などの運転手やボディーガードをさせられたりして、自由な時間もないので短い時間で多くのお金を稼ぐために犯罪を行うことになります。
 そうして、犯罪をくり返すことで、警察に逮捕され刑務所に入ることになってしまうのです。
 また暴力団には独自の「ルール」があり、ルール違反をした者には「ペナルティ」が待っています。ペナルティにはお金を要求されることもありますが、指を切り落とすよう命令されることもあります。暴力団は、人の命よりも組織の「ルール」を優先します。
 時には、暴力を加える側に立つ場合もあります。そのような時、命令に従わず手加減をしてかばい立てなどすると、ターゲットが切り替わり、命令違反として、今度は暴力を受ける側になってしまいます。
 このようなことをくり返して年齢を重ね、最終的には、組織や家族からも見放されてしまうのです。
3 暴力団犯罪の内容
 暴力団犯罪には、組織の名前を使って脅したり、怪我を負わせたりする事件のほか、闇カジノ、違法薬物の売買、拳銃の売買、詐欺などがあります。
 また、暴力団は、仲間割れや他の組織とトラブルになると、拳銃などの凶器を使った抗争を起こし、過去には、通行人など何の罪もない方が巻き込まれて犠牲になるなど、暴力団犯罪は決して許されるものではありません。
4 暴力団がいなくならない理由
 警察はたくさんの暴力団員を逮捕していますが、それでも暴力団がいなくならないのは、暴力団にお金を渡す人がいるからです。
 そこで、千葉県では「千葉県暴力団排除条例」で暴力団を利用する目的でお金を渡すことなどを禁止するきまりをつくりました。
 これにより、県や市町村、事業者など、社会のみんなで暴力団を排除するという意識が高まり、今では暴力団にとって住みにくい社会になりつつあります。
 しかし、残念なことにそれでも暴力団だと知らずにお金を渡してしまったり、実態を知らずに暴力団員になってしまう人もいるため、これからも社会のみんなが一緒になり、暴力団のいない街づくりに取り組んでいかなければなりません。

Ⅱ 暴力団と少年

1 暴力団は少年を狙っている
 暴力団員は、組長などの幹部にたくさんのお金を納めなければなりません。しかし、「暴力団対策法」や「千葉県暴力団排除条例」などの暴力団に対するきまりができたことで、お金が集めにくくなっています。これらのきまりが、皆に知れ渡るにしたがって、新しく暴力団に入る人が減り暴力団の「高齢化」が進み、「暴力団の維持」や「楽にお金を集めるため」に、少年たちを必要としています。
 暴力団は、少年だからと言って誰にでも声を掛けているわけではありません。暴力団が狙っている少年には、
    1. 暴走族や不良グループに出入りしている
    2. 暴力団にあこがれを持っている
    3. 目的もなく繁華街に入り浸っている
    4. お金に困っている
などの特徴があります。
 暴力団員は、「面倒ごとは代わりに片付けてあげるよ。」「困っている人は見過ごせない。」「簡単な仕事でお金がかせげるよ。」などと優しい口調で言葉巧みに近づいてきます。暴力団員は、はぶりもよく頼りになる大人を演じ、あなたを信用させ、恩を売ろうとします。
 そうして、いつの間にかお金集めや事務所当番を頼まれたり、「ちょっと仕事を手伝って欲しい」などと誘われ、行動を共にしているとしだいに断りにくくなり、いつの間にか暴力団に加入させられ、大人になっても抜け出せなくなってしまうのです。
 また逆に、言いがかりをつけられ、暴力団事務所に呼び出されたり、連れて行かれることもあります。
2 少年が巻き込まれる犯罪
 暴力団員と関わりを持った少年は、暴力団員に利用され、ひったくりや強盗、電話de詐欺などの犯罪に手を染める状況も見られます。
 また暴力団員の名前が表に出ないように、架空請求に必要な「銀行口座」や「携帯電話」の名義に少年の名前が使われたりしています。銀行口座や携帯電話の名義を貸すのは、犯罪です。
 その他には、「簡単な仕事だから」と言葉巧みに近づき、借金の取立てや出会い系サイトによる売春斡旋など、ありとあらゆる犯罪に少年が利用されています。
 軽い気持ちで始めたアルバイトが犯罪の手助けをしていたことになっていた場合、それをきっかけにして、暴力団から「ばらされたくなかったら、言うことをきけ!」と脅され続けることになるのです。
3 知り合い程度の関係
 「知り合い程度ならば・・・」、「食事するだけだから。」「よくしてくれる先輩だから。」といった軽い気持ちで暴力団と付き合っていると、身の回りの話をヒントにして、あなたが気づかないように少しずつ関係を深めるようになっていきます。
 お金に困っている話をすれば、アルバイトを紹介してくれたり、将来の夢の話から、資金を出してくれたりするかもしれません。また親身になってあなたの話をきいてくれるかもしれません。しかし、これら全てはあなたを暴力団にするための「甘い罠」となるのです。
 知り合い程度の関係だったとしても、いつの間にか被害を受ける立場になってしまったり、利用されたりする立場になってしまうおそれがあります。


4 暴力団は簡単に辞められない
 組長などの幹部は、お金を納めてくれる手下がいなければ、ぜいたくな生活はできないので、一度加入した者を簡単には辞めさせてはくれません。
 もし辞めようとすれば、集団で暴力をふるわれたり、常識では支払いきれないほどの多額のお金を要求されてしまいます。また、指を切り落とすように命令されることもあります。
 さらに自分だけではなく、家族や友人のところに押しかけてお金を要求するなどの嫌がらせをくり返し、辞めることを諦めさせるのです。
5 暴力団から少年を守る法律
 「暴力団による不当な行為の防止等に関する法律」(通称「暴力団対策法」といいます。)では、
    1. 少年に対する加入強要等(法第16条)
    2. 少年に対する入れ墨の強要等(法第24条)
を「千葉県暴力団排除条例」では、
    1. 少年を暴力団事務所に立入らせる行為(条例第17条)
をそれぞれ禁止しており、これらを守らなかった暴力団員に対して、公安委員会から文書で法律や条例を守るように命令することができます。また命令されたにも関わらず、再度守らなかった場合には、もう一度命令を受けたり、罰則を受けることになります。
 さらに、「千葉県暴力団排除条例」では
    1. 学校などの少年の健全育成にかかわる施設の周囲200メートルの区域内における暴力団事務所の開設又は運営(条例第19条)
を禁止しており、これを守らなかった暴力団は、罰則を受けることになります。
   

Ⅲ 暴力団犯罪にあわないために

1 暴力団とはかかわらない!
 暴力団犯罪の被害にあわないためには、暴力団とかかわりを持たないことが一番です。
 暴走族などの不良グループに参加したりしてはいけません。
また、暴力団から声を掛けられたり、暴力団が関わりを持とうと近づいてきたときは、けっして一人で悩まず家族や先生、警察に相談することが大切です。
2 暴力団は悪い人!
 暴力団は、テレビや漫画で描かれているような「カッコイイ」存在ではありません。
 暴力団は、働いているわけではないので犯罪に手を染めてお金を得るしかありません。
 これによって多くの方が被害にあっていますが、暴力団はたくさんのお金を集めて良い生活ができれば、被害者がどれだけ悲しもうが、そんなことはどうでもいいと考えているのです。
 また、暴力団は、困っている人を見つけると助けるふりをして近づき、弱みをにぎってお金を奪おうとするなど、道徳を持たない犯罪集団です。
 ですから、「カッコイイ」という印象とは全く正反対の「悪」の存在であり、このような暴力団に憧れることは大きな間違いです。暴力団は、テレビや漫画で描かれているような「カッコイイ」存在ではありません。
3 勇気を持って対応する!
 暴力団は、社会経験が未熟な少年や心が弱っている少年を狙って、さまざまな方法で近づいてきます。
 友達や家族との関係がうまくいっていなかったり、投げやりな気持ちになっていたとき、自分の話を聞いて共感してくれる人が現れたら、安心感を得られたり、認めてもらえた嬉しさから「もっと一緒にいたい。」と思ってしまうこともあるでしょう。
 信頼していた先輩から「悪いこと」を誘われたら、あなたはどうしますか?
 犯罪は、「少しだけなら許される」ということはありません。
 こんな場面に直面したら、その場で「いいよ。」とは答えずに、一度冷静に考える時間と相手との距離をつくりましょう。その後は、一人で悩まずに「学校の先生」、「家族」、や「警察」、「千葉県暴力団追放県民会議」に相談してください。時間が経つほど、事態は悪化してしまうおそれがあります。
 相談することは、これまで信頼していた人を裏切るようで、嫌な気分になるかもしれません。しかし、これは勘違いした連帯感によるもので、「悪いこと」を誘ってきた人が作り出したまやかしの感情です。「悪いこと」を誘ってきた人は、あなたが誘いに乗って「悪いこと」をしたら、これをきっかけにして、あなたが暴力団から逃げ出せないように脅そうと考えています。
 また、暴力団は、その見た目や話し方、行動から「怖い」というイメージを持ってしまいがちです。
 しかし、これは「怖い」というイメージを持たせることで、お金を奪いやすくするための作戦であり、本当は、警察に捕まったりするのを恐れています。
 暴力団がもっとも恐れているもの、それは、みんなの暴力団を恐れないという「勇気」と暴力団を社会から排除するという「強い気持ち」なのです。

千葉県警察と千葉県暴力団追放県民会議は、あなたからの相談を待っています。

暴力団関係の相談は、
〇最寄りの警察署刑事(第二)課
〇千葉県警察本部組織犯罪対策課
電話番号
043-201-0110(代表)
 
〇(公財)千葉県暴力団追放県民会議
電話番号
043-254-8930(代表)
0120-08930(フリーダイヤル)
メールアドレス
boutsui-chiba@opal.plala.or.jp

Ⅳ 少年と係わる全ての方へ

1 少年からのサインを見逃さない
 暴力団関係の対処法として重要なことは、「警察」や「千葉県暴力団追放県民会議」などの暴力団対策の専門家に相談し、社会全体で対策をとることです。
 暴力団と関係している少年は、暴力団に憧れている場合や暴力団から口止めされていたり、脅されている場合など、周囲の大人に相談しない、相談できない心理状態になっていることがあります。
 少年が一人で悩んでしまわないように、学校や家庭内などで相談しやすい環境をつくってあげることが大切です。また、
    1. 「暴力団と付き合いがある」と噂されている少年
    2. 急に服装や生活が派手になった少年
    3. 一人で悩んでいるような少年
に対しては、周囲の大人が積極的に声を掛けて話を聞いてください。
 少年から暴力団とかかわっている話を聞いた際は、家族が付き添うなどして少年を一人にすることがないよう、最寄りの警察署または千葉県警察本部組織犯罪対策課、千葉県暴力団追放県民会議へ相談してください。
2 千葉警察の取り組みについて
 千葉県では、「千葉県暴力団排除条例」というきまりを作り、県民や警察が一緒になって暴力団を社会から排除することに取り組んでおり、暴力団が住みにくい社会を目指しています。
 千葉県警察本部組織犯罪対策課と千葉県暴力団追放県民会議では、千葉県警察の関係各課と連携して、年に1回、県内の少年指導委員に対し、少年に対する暴力団の影響を排除する目的で、研修会を実施しています。研修会では、千葉県や全国の暴力団情勢や千葉県暴力団排除条例などについて紹介し、少年指導委員に対し最新の情報を提供しています。
 また、千葉県暴力団排除条例に規定されている学校(学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(幼児部を除く。)及び高等専門学校並びに専修学校(高等課程に限る。)をいう。)に対し、「非行防止教室」といった特別活動の機会を通じて少年に対し暴力団の悪質性や暴力団排除の重要性を教示する活動を実施しています。
お問い合わせ
千葉県警察本部 組織犯罪対策課  電話番号:043-201-0110 (警察本部代表)